先日、高校生を対象としたダンスコンテストを見に行った。ダンスの甲子園である。そう言うと我々世代はついつい「LLブラザーズ」とか「メロリンQ」とか「どすこい同好会」とか思い浮かべてしまう。もう一生こうなのだろう。
それはそれとして、コンテストの冒頭には審査員を紹介する時間があった。審査員には数々の実績を持つダンサーたちがおり、司会の人が「○○年に~~で優勝、その後渡米し、○○や△△でバックダンサーを務め、帰国後は~~スクールを開校し……」みたいな感じでプロフィールを読み上げる。しかし、審査員には主催元である新聞社の人もいて、そっちは「○○新聞社△△事業部の××さんです」で終わるのだ。
不公平ではないか。
新聞社に勤める人にだって、これまで人生いろいろあっただろう。就職活動は大変だったろうし、新人時代はトイレで泣いたこともあったろうし、プロジェクトが成功してうまい酒を飲んだこともあるだろう。ひょっとしたら転勤や出張で渡米したこともあるかもしれない。
社会人にもストーリーがあることを高校生に知ってもらいたい。でもあんまり社会のことを知りすぎると踊りにくいだろうか。「トイレで泣くんだ……」って思いながら踊ることになっちゃうだろうか。「好きなお菓子はかりんとう」くらいに留めたほうがいいだろうか。
でも「○○新聞社△△事業部の××さん、好きなお菓子はかりんとうです」って紹介するのどうなんだ。「かりんとう……」って思いながら踊ることになる。じゃぁダンサーの人もプロフィールの最後は「好きなお菓子」にしよう。「帰国後はスクールを開校、好きなお菓子は歌舞伎揚です」だ。
プロフィールの最後を好きなお菓子で決まり。新たなプロトコルの誕生である。