スプーン曲げをする人は、スプーンの細い部分をこすりながら「柔らかくなってきました」と言う。
自分はスプーンを曲げたことがないから分からないけど、そういうものなのだろうな、と思う。金属をこすりながら強く念じる。やがてその部分は熱を帯び、柔らかくなって、思うままに形を変える。
…ということは、そこをグッ!っと押したら平べったくなるんじゃないだろうか。
金属には叩くと薄く広がる「展性」、引っ張ると細く伸びる「延性」という性質がある。あの細い部分を柔らかくして、グッ、グッって延ばしていけば、一回りでっかい薄いスプーンができたっていい。
なんならフォークの先端を柔らかくして、グッって押して平べったくしたら、フォークをスプーンにできるはずだ。
スプーン曲げのネクストステージだ。最初は薄く延びるだけで歓声があがっていたが、やがて細かい細工をほどこす能力者も現れる。スプーンは曲げる時代から、加工する時代へ。
そのうち「制作時間30時間」みたいな大作ができて、もう超能力じゃなくて金属加工の人として評価されたりする。それでヒルナンデスとかでる。